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『理想の女(ひと)』

『理想の女(ひと)』_a0027742_79032.jpg「いい女は二種類しかいない。
全てを知り尽くした女と何も知らない女」
なんて コピーに惹かれて
ずっと、観たかった映画。

舞台は 1930年..
ニューヨーク社交界の華、ロバートと
メグ・ウィンダミア夫妻は
南イタリアの高級避暑地 アマルフィで
休暇を過ごしていた。

夫妻に さりげなく近づいていく
アーリン夫人は
その派手な恋愛遍歴を、知らぬ人はいないほど..。

アーリン夫人の目的は..?
うわさの真相は..?

そこに、メグに思いを寄せる ジョンも絡んできて
男女の 微妙なやりとりが、繰り広げられていく..

忘れかけてた心の機微や 思いやりを
懐かしく 思い出させてくれそうな お話。



*

原作は、オスカー・ワイルドの『ウィンダミア卿夫人の扇』
その題名が表すとおり
物語全般にわたって、この扇が 重要な役割を果たしている。

「何も知らない女」.. メグは
純粋で無垢で、誰もが 守ってあげたくなるような女。
夫の愛に包まれ、何不自由なく暮らしている。
でも.. どこか満たされてない感や 自信のなさが漂っている。
そして..
その あどけな過ぎる言動と不釣り合いなほど、色っぽい視線や仕草。

「全てを知り尽くした女」.. アーリン夫人は
知的で、女性としての魅力も兼ね備え
男なら、ちょっと興味を惹かれてしまう女。
自分の欲望のためなら、相手を食い物にすることくらい 平気に見えて..
その実..
相手への思いやりや 自分への誇りを しっかりと持ち、大切にしている。

一見、まったく 別のもののように見えるが
これって、本来 どんな女性も持ってるもの。

誰かの愛に、安心して包まれ
無垢でいられるものなら、無垢でいたいもの。

女としての魅力は、包み隠すべきだとわかっていても
それで魅せたいという欲求は、少なからず あるもの。

女としての魅力を、自他ともに 認めているから
最終的には、それを武器にしないという 誇り。

自分をしっかりと持っているからこその
いざとなったら、すべてを捨ててしまえるほどの勇気。

静かに 築き上げてきたように見えた、誰かとの関係が
些細なことで、いとも簡単に 崩れ落ちていくさまは
大げさなようでいて、実にリアルだった。
こわれるときなんて、そんなもの。

それを、鮮やかに 掬い上げていく手法は
いかにも 前時代的だけど
物語の展開や ラストの盛り上げ方は、
随所に ひねりが効いていて、さすが オスカー・ワイルドって感じ☆"

古き良き時代に 思いを馳せた、古き良き お話。
当時の上流階級の風俗や、豪華な装飾は 見どころかな。

*

個人的には、『理想の女』っていうタイトルや
「いい女は.. 」なんてコピーに、期待し過ぎちゃったから
やたらと 小ぎれいな仕上がりに、物足りなさを感じたけど
オスカー・ワイルドの『ウィンダミア卿夫人の扇』として 観たなら
もっと趣深い映画になったのかも。

手練手管に長けていている、アーリン夫人にしては
匂い立つような色気や にじみ出る知性が、感じられなかったし
若いのか老けてるのか よくわからない ヘレン・ハントは
どうだったのかしら? .. と思ったり

また、純粋で無垢な、メグを演じるにしては
カラダのラインを、あからさまに強調しすぎてたり
閨でのシーンが、いかにも 手慣れてる雰囲気だったりして
スカーレット・ヨハンソンでよかったのかしら..? と思ったり。

文芸作品に、スカーレットの魅力を 取り込もうとしすぎて
作品全体としては、ちぐはぐ感が否めなかったような気がする。

年輩の方の意見が、聞いてみたいとこだけど。


もう、 何も知らない女には なれない私。
いい女になるには、全てを知り尽くすしかないのかしらん..? (笑)

by keko_m | 2005-12-11 13:01 |  * movie